黒色便、特にタール便とは、コールタールのようにねっとりとした黒い便を指します。これは、消化管のどこかで出血が起こっている可能性を示唆する重要な兆候です。特に、消化管の上部である胃や十二指腸からの出血率が高い場合に黒くなることがあります。しかし、食べ物や薬の影響で黒色便が発生することもあります。
イカ墨料理や多量の赤ワイン、海藻類の摂取が黒色便の原因となることがあります。これらは一時的なものであり、心配はいりません。
貧血治療に用いられる鉄剤(例えばフェロミア、フェルム、フェロ・グラデュメット、インクレミンなど)で黒色便が見られることがあり、通常、健康上の重篤な問題を示唆するものではありません。
胃の粘膜に潰瘍ができ、そこから出血することで黒色便になります。原因にはピロリ菌感染、ストレス、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用などがあります。みぞおちの痛みや吐き気が伴うことがあります。
同様に、十二指腸の粘膜に潰瘍が生じた際の出血が主な原因です。症状としては、空腹時や夜間に痛みが生じることがあります。
がんの原因による消化器官の出血で発生します。体重減少や食欲不振、吐き気がみられることがあります。
特に肝硬変の合併症として生じることが多く、静脈が拡張して破裂した際に出血し、黒色便が発生します。
黒色便に加えて以下のような症状が見られる場合は、緊急性があります。
黒色便は消化管出血を示唆する重要な症状です。食べ物や薬剤による一時的な影響なのか確認し、原因が明確でない場合、早急に消化器内科医を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしてください。放置すると重篤な貧血やショックを引き起こす恐れがあります。