診療案内
MEDICAL
高尿酸血症は、血液中の尿酸濃度が正常値(男性で約7.0mg/dL以下、女性で約6.0mg/dL以下)を超える状態を指します。この状態自体は無症状のことが多いですが、適切に管理しないと痛風や腎障害、尿路結石などのリスクが高まります。
尿酸値が高くなる原因は主に3つのパターンに分けられます。①尿酸の生成が増加する、②尿酸の排泄が低下する、③生成の増加と排泄の低下が同時に起こる、です。それぞれの背景を見ていきましょう。
以前は「贅沢病」とも呼ばれ、一般的に“贅沢”や“高級”とイメージされる食事にプリン体は多く含まれます。
尿酸の生成が正常でも、排泄過程の障害で高尿酸血症を呈することがあります。
代表的な原因が腎臓機能の低下です。腎臓は体内の老廃物を排泄する役割があり、尿酸もその対象です。腎臓機能の低下で尿酸値が高くなり、さらに高尿酸血症により腎臓がさらに障害される負のループを呈します。
その他遺伝的要因や一部の薬剤(利尿剤、低用量アスピリンなど)などが原因となることもあります。
痛風は、血液中の尿酸濃度が高い状態が続き、尿酸結晶が関節内に沈着し、急性炎症を引き起こします。主に男性に多く、30~50歳の成人男性に多く見られます。主に足の親指の付け根(中足趾節関節)に激しい痛みと腫れが特徴的です。痛みは突然始まり、夜間や早朝に悪化することが多いとされています。数日から1週間程度で軽快するが、繰り返し発生する可能性があります。発症後早期に抗炎症薬での鎮痛治療が痛みの軽減に有効です。
慢性痛風では、長期間にわたって尿酸が高いままで、繰り返し発作が起こるため、関節に永続的なダメージを与えることがあります。尿酸結晶が関節や皮下で結節を形成し、関節の変形や動きの妨げとなることがあります。これらは腎機能にも影響を及ぼす可能性があり、継続的な管理が必要です。適切な治療と健康的な生活習慣の維持によって進行を防ぎ、症状をコントロールすることが重要です。
急性痛風発作では、体の特定の部位、特に足の親指の付け根に激しい痛みと腫れが突然現れます。これらの症状は通常、数日から1週間ほど続きますが、治療によって早期に緩和することが可能です。発作の誘因としては、尿酸が高まる要因、アルコールの摂取、ストレス、プリン体を多く含む食品の摂取などがあります。
尿酸値を下げる治療薬は尿酸の生成を抑制する薬剤と排泄を促進する薬剤に分けられます。通常は尿酸生成抑制薬を使用することが多いです。
アロプリノール、フェブキソスタット
プロベネシド、ベンズブロマロン
痛風発作を発症した際は、十分量の抗炎症薬であるNSAIDsが使用されます。発症後できるだけ早期に投与が開始されることが理想的です。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
痛風発作の予防や軽減
重症例で使用
その他高血圧治療薬であるアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、脂質異常症治療薬であるフェノフィブラート、糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬は尿酸値を低下させる効果があることが知られています。
高尿酸血症の予防で最も大切なことは生活習慣の改善です。痛風発作を防ぎ、その他動脈硬化や腎機能障害などを予防するには高血圧・糖尿病・脂質異常症の予防と同様に食事内容の改善と運動習慣を維持することが有効です。
減塩食になれる、腹八分目、間食をしない
有酸素運動を中心に無酸素運動も追加できれば良い。
早寝早起を目標
最低でも休肝日の設定、ベストは断酒
タバコ(喫煙)は百害あって一利なし
これらは1人で続けることが大変なことが多く、家族や医師のサポートが有効になる場合もあります。そのため、定期的に通院していくことで、安定した治療の継続と予防効果が得られることが多いです。