機能性ディスペプシアとは英語ではFD(Functional Dyspepsia)と呼ばれ、症状の原因となる明らかな病気(胃潰瘍や逆流性食道炎、代謝性の病気や全身性の病気)がないにも関わらず、慢性的に長期間、鳩尾(みぞおち)の痛みや胃もたれなどの上腹部を中心とした腹部の症状を呈する疾患です。機能性ディスペプシアの患者さんは消化器内科の外来では多く、上腹部症状で来院されて、精密検査を行いますがはっきりとした原因が指摘できず、多くの方を悩ませています。日本の有病率は約10%で欧米では15~25%程度と報告されています。
機能性ディスペプシアの症状は上腹部の症状が中心であり、具体的には食後腹部膨満感、早期満腹感、心窩部痛(鳩尾の痛み)、心窩部灼熱感の4つの症状がメインです。これらの症状のうち1つ以上を6ヶ月以上前から経験し、かつ最近の3ヶ月に症状が続いていることが診断に必要です。
機能性ディスペプシアの原因ははっきりしておりませんが、多種多様な要因が病因に関与していると考えられています。
治療はヘリコバクター・ピロリ菌の感染を認めた場合はピロリ菌の除菌が選択されます。その上で一次治療として胃酸の分泌を抑制するプロトンポンプ阻害剤、運動機能改善薬であるアコチアミド、漢方(六君子湯など)による治療が行われます。二次治療としては抗不安薬、抗うつ薬、一次治療で使用していない薬剤などが行われます。
また生活習慣の改善は治療の基本です。具体的には、規則正しい食生活、適度な運動、ストレス管理が推奨されます。