クローン病は、炎症性腸疾患(IBD)の一種で、消化管に持続する炎症が生じる病気です。病名は初めてこの病気を報告したアメリカのクローン医師に由来しています。クローン病は、腸を中心とした消化管に潰瘍やびらん(ただれ)ができる原因不明の慢性疾患です。患者数は年々増加しており、特に15歳から35歳の若年層で診断されることが多いですが、乳幼児期を含む小児期に発症するケースもあります。炎症は、口から肛門までの広範囲に及ぶ可能性があり、症状は炎症の強さや位置によって様々です。
クローン病の主な症状には、腹痛、下痢、血便、体重減少があります。これらの症状は、慢性的でありながらも寛解期(症状が落ち着く時期)と活動期(症状が悪化する時期)を繰り返します。また、原因不明の発熱や成長障害から病気が発見されることもあります。病気が進行すると、腸の狭窄や穿孔などを引き起こし、場合によっては手術が必要となることがあります。
クローン病の原因は現在のところ明確には分かっていませんが、遺伝的な要因に加えて免疫システムの異常が関わっていると考えられています。一般的な説としては、本来外敵に対する防御機能である免疫系が、自身の消化管を不必要に攻撃してしまう状態が続いていることが挙げられます。食生活の変化や腸内細菌のバランスの変化も、クローン病の発症に影響しているのではないかとも考えられています。
現在、クローン病を完全に治癒させる治療法はありませんが、症状を管理し、良好な生活の質を維持するためのさまざまな治療方法があります。治療には以下の方法があります。
クローン病の治療は長期的なものであり、患者が自身の病態を理解し、治療に積極的に取り組むことが重要です。