バレット食道

バレット食道は、逆流性食道炎によって食道の粘膜が変性し、通常の扁平上皮が胃の粘膜に近い円柱上皮に置き換わる状態を指します。この状態は、特に胃と食道の境界部である食道下部で発生し、腺がん(バレット腺がん)のリスクが増加するため注意が必要です。バレット食道そのものは生命を直接脅かす病気ではありませんが、早期の診断と適切な管理が重要です。欧米ではベレット食道の罹患率が高く、一般的な病気ですが、日本では欧米に比較し肥満の方が少ない影響か発見率は低いです。しかし、ピロリ菌の感染率低下による胃酸分泌の増加や食の欧米化などの影響で今後は少しずつ増加する可能性があります。

 

バレット食道の症状

バレット食道自体では自覚症状がない場合がほとんどです。しかし、バレット食道の背景には逆流性食道炎が伴うことが多く、以下のような症状が現れることがあります

  • 胸やけや呑酸(胃酸が口元まで逆流する感覚)
  • 飲み込みにくさや喉の違和感
  • 長期間続く場合、慢性的な胸部不快感を伴う場合もあります。

バレット食道の原因

バレット食道の主な原因は胃酸の逆流です。胃酸による食道粘膜への長期的な刺激がバレット食道を引き起こします。以下がリスク要因とされています

  • 慢性的な逆流性食道炎の存在
  • 肥満や喫煙、アルコール摂取などの生活習慣
  • 一部の遺伝的要因や高齢化もリスクを高めるとされています。

バレット食道の治療法

治療の目的は腺がんの予防と症状の改善です。

1.生活習慣の改善

高脂肪食やアルコールを控え、適切な体重管理を行います。

2. 薬物治療

胃酸を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)や制酸薬を使用します。

3. 内視鏡治療

病変が進行している場合、内視鏡的粘膜切除術(EMR)やラジオ波アブレーション(RFA)が検討されます。欧米では生検でdysplasia(異型)を認めた場合にEMRやRFAが適応となります。

4. 外科治療

重症例では噴門形成術などの手術が行われることがあります。


バレット食道は腺がんリスクを軽減するために定期的な内視鏡検査が推奨されます。